探偵の性(さが)

人と知り合って職業を聞かれて、「探偵です」と言える探偵がいったい何人いるでしょうか?

自分も、友人にも明かす人は選んでいて堂々と他人には言えません。それは、人の秘密を調べたり、裁判での証拠の為にも隠れて写真を撮ったり、言わば「裏稼業」といった仕事の形態のせいだろうか。
対象者の素性を調べる聞き込みでも、警察のように手帳を見せれば事足りる筈もなく、頭をフル回転させてフィクションの世界に入り込まなければならない。
アンケート調査員になったり、配送やチラシ配りのアルバイターになったり、身分を明かさずに人から聞き出すのは難しい。

この前も、浮気相手の男を尾行していて開店前のデパートに従業員通用口から入っていったので、開店後1階からどこで働いているか見て回り、4階紳士服売り場で発見。
自分は、その人が接客に来るよう近くをうろうろして、服を見立ててもらいました。その際飲み屋を3,4店持つオーナーになりきり、接客を褒めて、自分の店にスカウトする振りをしてアルバイト・正社員・派遣社員なのか等聞き出しました。胸の名札で氏名確認してメールのふりしてメモ帳に登録、スマホの動画で近距離から撮影も忘れてはいけません。
結構演技力がいるんですよ。

外国では、特にアメリカやイギリスではライセンスがあり、移住履歴・出生・死亡・結婚・離婚・資産・教育・犯罪歴などデータ照会ができたり、アメリカは州によっては銃の携帯許可もあったりと、ある程度職業として広く認知されています。

文化や歴史も違うし、自分が思うに日本では、「探偵」の起源は忍者ではないだろうか?
忍び込み、敵の考えや動きを偵察する仕事は、まさに探偵と言えると思う。
人知れず技を磨き鍛錬して忍びとして生きる忍者は、見られてはいけない存在だし、多分誰にも素性は言わなかったでしょう。

日本でも、外国に倣ってライセンス制度が取り入れられる日が来るのだろうか?
そうなれば「超難関私立探偵資格の傾向と対策」、「2020年度私立探偵資格試験の解説」なる本が本屋に並んだり、「私立探偵資格を取るならユーキャン」といったCMもあるかも知れない。(あるわけないね)

自分は、職業を大っぴらに言えないし、少し後ろめたさはあるが、本当に困っている人の安堵の顔や感謝の言葉は、他の職業では味わえない「探偵」という職業が結構気に入っています。
依頼、お待ちしてます。

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