ストーカー被害と年齢

昼過ぎから落雷と急な雨。
自転車での出勤を悔やんでいたら、一本の依頼電話がかかってきました。

「あ、シークレットジャパンさん? 頼みたいことがあるのよ。」
『どういったご用件ですか?』
「実は十数年、ストーカー被害にあってるのよ。」
『十数年ですか。それはずいぶん長い間ですね。大変だったでしょう。』
オウム返しの後、相手の気持ちを代弁して話を広げさせる高等テクニックで切り返した(おおげさか(笑))
でもその後、このテクニックをすぐ後悔する羽目に陥ったのです。

「そうなのよ、私は今、79歳で年金暮らしなんだけど、17年前に夫を亡くしてね、61,2だったかしら、そのころはお店を切り盛りしてて~~~ああでもない~~~こうでもない、、、、、それでね、~~~」
(やばい、火を点けてしまったらしく、機関銃トークに早くもグロッキー状態。)

要は、このご婦人、未亡人となってから現在に至るまで、ずっといろんな人や組織に付きまとわれていると言うのである。
外に出ると、いつも同じナンバーの同じ車がよく止まっていて、通り過ぎると小さくクラクションを鳴らして、もう1台の車に合図しているらしい。
スーパーに買い物に行っても、美容院に行っても、誰かが付いてきているのだそうだ。

『スーパーにもですか。しつこい人たちですね。どうしてそこまで付きまとうんでしょうね。』
(しまった、また使ってしまった。)
「それは、その、つまり、はっきり言って私が魅力的だったんでしょう。でもね、いまじゃあ年金暮らしのしがないおばあちゃんでね、でもいい加減頭に来てね、仕返ししてやりたいのよ。警察にも行ったのよ、そうしたら全然相手にしてくれないし、婦人110番みたいな電話相談も教わったけど、全然話にならないわ。それでね、~~~ああでもない~~~こうでもない、、、、」
(だめだ、だれか早くタオル投げてくれ!)

俺の悲痛な叫びも虚しく、このご婦人の熱弁は2、30分ほど続いたであろうか。
結局何が言いたいかといえば、警察でも相手にされないし、近所でも呆けたばあさんと思われてるし、あなたに調査して欲しいということです。
今は年金暮らしでまとまったお金はないが、証拠をつかめば、慰謝料を取れるから、それで調査料金を払うと言うのです。
う~ん、何とも困った依頼ですが、このご婦人、不思議なのは、自分を客観的に見て評価したり、相手がどう思ってるかも的確に理解していることです。
自分は、父親によって認知症の酷さも経験してるが、この人はすごく軽度で、ストーカーされているという妄想以外はとてもまともでした。

ちょっと会ってみたくなりましたね。きっと若い頃は本当に綺麗で魅力的だったのだろうと想像しました。
付きまとわれていたのも事実かもしれません。(十数年や現在もは、違うでしょうが。)
「高崎フリモ」の広告がカッコ良かったから電話する気になったと言っていました。
(おばあちゃん、ありがとう!)

『すいません、難しすぎて自分には無理です。』と丁重に断ると、「そう、残念ね、探偵さんなら出来ると思ったんだけど、、、。お忙しいところ、すいませんでした、ではおじゃましました。」

『あ、ちょっと待ってください。自分は母親と暮らしてたんですが、去年88で旅立ってしまいました。母は、80代でNHKの放送大学をやりだして、「この年で大学生よ。」と楽しそうでした。いくつになっても、楽しいことは見つかりますよ!うちは、相談無料だから、困ったことがあったら、また連絡していいですよ。』
思わずこんな事を、、、。(明日から少し不安です。)
このご婦人、なんか樹木希林を想像してます。
すいません、無断で記事にしてしまいました。
早く心の平穏が訪れることを願ってます。
樹木希林

“ストーカー被害と年齢” への2件の返信

    1. ありがとう!
      記事にできないネタばかりだけど、ニュアンスを伝えたいな。
      この記事はそのままを載せてしまった。
      アパッチ野球軍懐かしいなぁ。
      侍ジャイアンツもちょっと見たくなった。

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